脱Salesforce完全ガイド:判断基準と進め方

Salesforceからの乗り換えを検討する際の判断基準、移行の進め方、費用の考え方までを一つの記事で整理します。乗り換えるべきか、運用改善で対応すべきかの見極め方も解説します。

2026年08月21日
脱Salesforce完全ガイド:判断基準と進め方

「そろそろSalesforceから乗り換えるべきか、それとも今の運用を改善して続けるべきか」——契約更新のタイミングが近づくと、こうした判断を迫られる企業は少なくありません。長年使い続けてきたシステムを乗り換えるのは大きな決断であり、判断基準が曖昧なまま進めると、乗り換え後にかえって業務が混乱してしまうリスクもあります。

一方で、現場からの「使いにくい」という声や、更新のたびに膨らんでいくライセンス費用を前に、乗り換えの検討を先延ばしにし続けるのも得策ではありません。重要なのは、感覚的な判断ではなく、費用・業務適合度・移行リスクという複数の観点から総合的に判断することです。

この記事では、脱Salesforceを検討する際に押さえるべき判断基準、実際の進め方、そして費用の考え方を一つのガイドとして整理します。

この記事の要点(30秒でわかるまとめ)

  • 乗り換えの判断は「費用」「業務適合度」「移行リスク」の3軸で行うのが基本
  • 契約更新月から逆算したスケジュールで準備を進めることが重要
  • 移行先はスクラッチ開発・他SaaS・kintoneなど複数の選択肢があり、自社の業務特性で選ぶ
  • 補助金の活用など、費用面のハードルを下げる制度も存在する

脱Salesforceを検討すべきタイミング

結論:契約更新が近づいている、現場定着に課題がある、カスタマイズの限界を感じている——このいずれかに当てはまる場合は、検討を始める良いタイミングです。

多くの企業では、年間契約の更新月をきっかけに費用対効果を見直します。しかし本来は、更新月の直前に慌てて検討するのではなく、Salesforceの「隠れコスト」を含めた総コストを日頃から把握し、余裕を持って判断できる状態にしておくことが望ましいといえます。

判断基準1:費用面での比較

結論:ライセンス費だけでなく、5年程度の長期スパンでの総コストを比較することが欠かせません。

Salesforce Enterprise版は2026年時点の公表価格で21,000円/ユーザー/月(税抜・年間契約)とされており、仮に50名で利用した場合、年間で約1,260万円、5年で約6,300万円の費用となる試算になります(※あくまで公表価格に基づく試算であり、実際の契約条件によって変動します)。この金額を、自社の業務に合わせたスクラッチ開発の費用と比較することで、どちらが長期的に見て合理的かを判断する材料になります。

判断基準2:業務適合度

結論:標準機能とのギャップが大きく、カスタマイズで解消しきれていない業務があるかどうかを確認します。

例えばSalesforceが「使いにくい」と言われる7つの理由で挙げたような、入力項目の多さや検索性の低さといった不満が、運用改善やカスタマイズでは解消できないレベルに達している場合、標準機能をベースにしたシステムそのものが自社の業務と根本的に合っていない可能性があります。

判断基準3:移行リスクとデータの複雑さ

結論:蓄積されたデータ量・カスタマイズの複雑さが大きいほど、移行にかかる期間とリスクは大きくなります。

長年運用してきたSalesforceには、大量の顧客データや商談履歴、複雑なカスタマイズが蓄積されています。これらをどう移行するかによって、プロジェクトの難易度は大きく変わります。移行前には、使っている機能・使っていない機能を可視化する棚卸し作業を行い、本当に移行が必要なデータ・機能を見極めることが重要です。

脱Salesforceの進め方

結論:「棚卸し→移行先の選定→並行稼働→切り替え」という段階を踏んで進めるのが基本的な流れです。

ステップ内容
1. 棚卸し使っている機能・オブジェクト・カスタマイズを洗い出す
2. 移行先の選定スクラッチ開発・他SaaS・kintoneなど、自社の業務特性に合う選択肢を検討
3. 並行稼働新旧システムを一定期間並行稼働させ、不具合や抜け漏れを確認
4. 切り替え現場への教育を行いながら段階的に本番切り替え

この進め方に沿って準備することで、移行に伴う業務停滞のリスクを最小限に抑えることができます。

費用面のハードルを下げる選択肢

結論:AI駆動開発による費用圧縮や、補助金の活用によって、移行の初期費用負担を抑えられる可能性があります。

AI駆動開発を活用した受託開発では、開発費が相場の約1/2程度に収まるケースもあります。また、AI開発向けの補助金では開発費の最大80%、最大1億円が補助される制度も存在します(制度の詳細・申請可否は個別に専門家・事務局へのご確認をおすすめします)。こうした選択肢を組み合わせることで、初期投資のハードルを下げながら移行を進めることも可能です。

よくある質問(FAQ)

Q. 乗り換えにはどれくらいの期間がかかりますか? A. 対象データ量やカスタマイズの複雑さによって異なります。まずは棚卸しを行い、移行対象の範囲を明確にすることで、より正確なスケジュールが見えてきます。

Q. 乗り換え先はスクラッチ開発以外にもありますか? A. はい。他のSaaSやkintoneなど、自社の業務特性に合わせた複数の選択肢があります。乗り換え先の比較検討にはSalesforceからの乗り換えでおすすめの開発会社7選と選び方もご参照ください。

Q. 補助金は必ず使えますか? A. 制度ごとに要件があり、申請の可否は個別の審査によります。断定的なことは言えないため、専門家や事務局への確認をおすすめします。

Q. 乗り換えずに運用改善だけで対応することもできますか? A. もちろん可能です。判断基準に照らして、運用改善で十分なケースも多くあります。まずは現状の課題を整理することから始めるとよいでしょう。

まとめ

脱Salesforceの判断は、費用・業務適合度・移行リスクという3つの軸で総合的に検討することが重要です。契約更新のタイミングだけでなく、日頃から総コストや業務適合度を把握しておくことで、より余裕を持った判断ができるようになります。

Irwin&co株式会社は、脱Salesforceを検討する企業に対して、現状分析から移行後のシステム設計まで一気通貫で支援しています。初回商談では実際に動くデモをお見せしながら、自社に合った移行の進め方をご提案します。乗り換えを検討し始めた段階でも、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール

アーウィン 海(Irwin&co株式会社 代表取締役)

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役

生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。

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