スクラッチ開発の投資回収を約2年で実現する費用設計

スクラッチ開発は初期費用がかかると思われがちですが、費用設計の考え方次第では約2年での投資回収も見込めます。その考え方とAI駆動開発による費用圧縮の仕組みを解説します。

2026年08月22日
スクラッチ開発の投資回収を約2年で実現する費用設計

「スクラッチ開発は初期費用が高いから、結局SaaSの方が安く済むのではないか」——業務システムの刷新を検討する際、こうした懸念から検討自体を先送りにしてしまうケースが少なくありません。たしかにスクラッチ開発は初期にまとまった開発費用が発生しますが、その後は保守運用費のみで継続できるため、ユーザー数に応じて費用が積み上がり続けるSaaSとは費用の伸び方が根本的に異なります。

投資回収の期間を左右するのは、初期費用の絶対額そのものよりも「継続していたSaaS費用と、スクラッチ開発後の保守運用費との差額」をどう設計するかという視点です。この差額の設計次第では、約2年程度での投資回収が見込めるケースもあります。

この記事では、スクラッチ開発の投資回収を短縮するための費用設計の考え方と、AI駆動開発が投資回収期間に与える影響について解説します。

この記事の要点(30秒でわかるまとめ)

  • 投資回収期間は「初期費用÷年間の削減額」で概算できるという基本の考え方を押さえる
  • SaaSの年間費用が大きいほど、また開発費が抑えられるほど、投資回収期間は短くなる
  • AI駆動開発の活用により開発費が相場の約1/2程度に収まるケースがあり、回収期間の短縮につながる
  • 補助金の活用や段階的な開発によって、初期費用そのものを抑える選択肢もある

投資回収期間の基本的な考え方

結論:投資回収期間は「開発費(初期費用)÷ 年間の削減額(SaaS費用 − 保守運用費)」という式で概算できます。

たとえば年間のSaaS費用が1,260万円かかっていた企業が、スクラッチ開発によって年間の保守運用費が300万円程度に収まったとすると、年間の削減額は960万円です。この場合、開発費が仮に2,000万円程度であれば、投資回収期間はおよそ2年程度という計算になります。もちろんこれは概算であり、実際の金額は開発規模や業務範囲によって変動しますが、回収期間を左右する要素を整理する上で有効な考え方です。

投資回収期間を左右する2つの変数

結論:投資回収期間を短縮するには「開発費を抑える」か「年間の削減額を大きくする」かのどちらか、あるいは両方に取り組む必要があります。

変数1:開発費をどう抑えるか

開発費が抑えられるほど、投資回収期間は短くなります。ここで大きな影響を持つのが開発手法です。AI駆動開発を活用した受託開発では、要件定義や実装の一部をAIが支援することで、従来型の開発と比べて開発費が相場の約1/2程度に収まるケースがあります。開発費が半分になれば、単純計算でも投資回収期間はおおむね半分に短縮される可能性があります。

変数2:年間の削減額をどう最大化するか

年間の削減額は「継続していた場合のSaaS費用」と「スクラッチ開発後の保守運用費」の差で決まります。Salesforceの5年コスト試算で紹介したように、ユーザー課金型のSaaSは利用人数が多いほど年間費用が大きくなるため、削減額も比例して大きくなる傾向があります。一方、保守運用費はアカウント数に依存しない費用体系で設計すれば、組織の成長に応じて費用が膨らみ続けることを避けられます。

費用設計の具体的なステップ

結論:現状のSaaS費用を正確に把握したうえで、開発費と保守運用費の見積を取得し、複数年での総額シミュレーションを行うことが投資回収期間を見極める近道です。

  1. 現在のSaaS費用(ライセンス費に加えて、カスタマイズ保守や教育コストなどの隠れコストも含めた総額)を把握する
  2. 移行先のシステムについて、開発費・保守運用費の見積を取得する
  3. 5年程度のスパンで、継続した場合とスクラッチ開発した場合の総額を比較する
  4. 補助金の活用可能性も含めて、初期費用をどこまで圧縮できるかを検討する

この一連のステップを踏むことで、感覚的な「高そう」という印象ではなく、具体的な数字にもとづいた投資判断ができるようになります。

補助金を活用した初期費用の圧縮

結論:AI開発向けの補助金を活用できれば、開発費の負担を抑え、投資回収期間をさらに短縮できる可能性があります。

AI活用型のシステム開発を対象とした補助金では、開発費の最大80%、最大1億円が補助される制度も存在します。ただし申請の可否や補助率は制度・審査によって異なるため、活用を検討する場合は専門家や事務局への確認をおすすめします。補助金を活用できれば、実質的な自己負担額が減り、投資回収期間はさらに短縮される可能性があります。

よくある質問(FAQ)

Q. 約2年での投資回収は、どんな企業にも当てはまりますか? A. 現在のSaaS費用の規模や、開発費・保守運用費の水準によって変動するため、一概には言えません。自社の数字にもとづいたシミュレーションを行うことをおすすめします。

Q. 開発費を抑えると品質が落ちるのではないですか? A. AI駆動開発は、要件定義や実装の一部を効率化することで開発費を抑える仕組みであり、品質を犠牲にするものではありません。初回商談で動くデモを確認しながら品質を判断いただくことも可能です。

Q. 投資回収後もコストはかかりますか? A. はい。開発後も保守運用費は継続的に発生します。ただし、アカウント数に依存しない費用体系であれば、組織の成長に応じて費用が膨らみ続けることは避けられます。

Q. 補助金は必ず採択されますか? A. 採択の可否は個別の審査によるため、確約はできません。制度の詳細や申請可否については、専門家や事務局への確認をおすすめします。

まとめ

スクラッチ開発の投資回収期間は、「開発費をどれだけ抑えられるか」と「年間の削減額をどれだけ大きくできるか」という2つの変数で決まります。AI駆動開発による開発費の圧縮と、アカウント数に依存しない保守運用費の設計を組み合わせることで、約2年程度での投資回収が見込めるケースもあります。

Irwin&co株式会社は、AI駆動開発により開発費を相場の約1/2程度に抑えながら、開発費と保守運用費のみのシンプルな費用体系でシステム開発を支援しています。初回商談では実際に動くデモをご覧いただけますので、自社の投資回収シミュレーションを行いたい場合はお問い合わせからご相談ください。

執筆者プロフィール

アーウィン 海(Irwin&co株式会社 代表取締役)

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役

生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。

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