Salesforceで「欲しい情報にたどり着けない」検索性の問題を解決する

Salesforce内に情報はあるはずなのに欲しいデータにたどり着けないという悩みに向けて、検索性が低下する原因と、AIを活用した改善のアプローチを解説します。

2026年09月22日
Salesforceで「欲しい情報にたどり着けない」検索性の問題を解決する

「過去に似たような商談があったはずなのに、Salesforceの中から見つけられない」「入力はしているのに、必要なときに欲しい情報にたどり着けない」——長期間Salesforceを運用している企業から、検索性に関する相談が多く寄せられます。

データは蓄積されているのに活用できていないという状態は、入力の手間をかけた分だけもったいなさが大きい課題です。キーワード検索で完全一致しないと見つからない、項目が分かれすぎていてどこを見ればいいか分からないなど、検索性の低さは現場の「使いにくさ」の大きな要因の一つになっています。

この記事では、Salesforceで検索性が低下する原因と、AIを活用した検索性改善の考え方を解説します。

この記事の要点(30秒でわかるまとめ)

  • 検索性の低下はキーワードの完全一致に依存した検索の仕組みが主な原因の一つ
  • データが複数のオブジェクト・項目に分散していることも情報アクセスを難しくする
  • **自然文で検索できるAI技術(RAG等)**が改善の選択肢として広がっている
  • 検索性の改善は、入力してもらう工夫とセットで考える必要がある

Salesforceの検索性が低いと感じられる理由

結論:Salesforceの検索性が低いと感じられる主な理由は、標準的な検索機能が入力されたキーワードとの一致に依存しており、表記ゆれや言い回しの違いを吸収しにくいことにあります。

たとえば「株式会社」の有無や、担当者ごとに異なる商談メモの書き方の違いによって、実際には関連する情報であっても検索結果に表示されないというケースが起こります。加えて、情報が複数のカスタムオブジェクトや添付ファイルに分散していると、どこを探せばよいか自体が分かりにくくなります。こうした「使いにくさ」全般の背景についてはSalesforceが「使いにくい」と言われる7つの理由と現実的な対処法でも整理しています。

レポート・ダッシュボードでも解決しきれない検索ニーズ

結論:定型的なレポートやダッシュボードは決まった切り口の集計には有効ですが、「あのときのあの商談、どんな提案をしたか」といった非定型的な検索ニーズには対応しにくいという限界があります。

レポート機能は事前に定義した条件での集計・抽出には強い一方、条件を事前に決められない自由な問いかけには向いていません。Salesforceのレポート・ダッシュボード作成が難しいと感じられる背景についてはSalesforceのレポート・ダッシュボード作成が難しい理由と代替アプローチでも解説しています。

自然文で検索できるAI技術による改善アプローチ

結論:近年は、蓄積されたデータに対して自然な言葉で問いかけると関連情報を探し出すAI技術(RAGなど)を業務システムに組み込むことで、キーワードの完全一致に頼らない検索が可能になってきています。

「不動産業で似たような規模の商談事例」といった曖昧な問いかけに対しても、意味的に近い情報を探し出す仕組みを組み込むことで、担当者が表記ゆれを気にせずに過去のデータへアクセスできるようになります。こうした検索技術の業務活用の考え方は蓄積データを自然文で検索する:RAG検索の業務活用入門で詳しく解説しています。実際に、フォーム回答から見積書を即日自動生成する仕組みでも、過去データの参照・活用が土台になっています。TTC Foods様の見積AI導入事例では、こうしたデータ活用の考え方を業務システムに落とし込んだ事例を紹介しています。

検索性の改善は「入力の質」とセットで考える

結論:どれだけ検索技術を高度化しても、そもそも情報が入力されていなければ検索のしようがないため、検索性の改善は入力してもらいやすくする工夫とセットで検討する必要があります。

会議メモや商談内容の入力負担が大きいと、現場が入力を後回しにしたり簡略化したりして、検索対象となるデータ自体が薄くなってしまいます。音声やメモからのAI自動入力を組み合わせることで、入力負担を減らしながら検索対象のデータを充実させるという両輪の設計が有効です。

検索性改善を段階的に進めるロードマップ

結論:検索性の改善は、すべてのデータを一度に対象にするのではなく、利用頻度が高く困りごとが多いデータから段階的に対象を広げていくと、投資対効果を確認しながら進めやすくなります。

まずは営業担当者が日常的に「探せなくて困っている」と感じているデータ領域を洗い出し、その範囲だけを対象に検索性改善の効果を検証します。効果が確認できた範囲から他のデータ領域へ順次拡大していくことで、大きな投資判断をする前に小さく効果を見極めながら進められます。

よくある質問(FAQ)

Q. 検索性の改善は、既存のSalesforceを使い続けながらでも可能ですか? A. データの蓄積状況や連携のしやすさによりますが、既存システムに検索機能を拡張・連携する形で改善を図れるケースもあります。

Q. AIによる検索は、どの程度の精度が期待できますか? A. データの蓄積量や整備状況によって差があり、導入時には自社のデータでの検証が推奨されます。効果を確実に保証するものではなく、精度向上が見込める技術として捉えることが適切です。

Q. 検索性の低さは、Salesforce以外のシステムでも起こりますか? A. データが分散し、検索の仕組みが整っていなければ、どのシステムでも同様の課題は起こり得ます。重要なのはシステムの種類よりも、検索の仕組みとデータの整備状況です。

Q. 検索性を改善する取り組みは、どこから始めればよいですか? A. まずは現場が「どんな情報を探せずに困っているか」を具体的に洗い出すことから始めると、優先的に改善すべき範囲が見えやすくなります。

まとめ

Salesforceの検索性の低さは、キーワード完全一致への依存やデータの分散が主な原因であり、レポート機能だけでは非定型的な検索ニーズに応えきれません。自然文で検索できるAI技術を組み込みつつ、入力しやすい仕組みとセットで整備することが、検索性改善の現実的なアプローチになります。

Irwin&co株式会社は、AI-OCRやRAG検索などの技術を活用した業務システムの受託開発を行っており、開発事例でも実際の活用例を紹介しています。検索性の課題にお悩みの場合は、お問い合わせからご相談ください。

執筆者プロフィール

アーウィン 海(Irwin&co株式会社 代表取締役)

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役

生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。

お問い合わせ

生成AI活用やAI開発について、お気軽にご相談ください。

まずは相談する