SaaSの「使われていない機能」に払い続けるコストの見える化

複数のSaaSを契約していると、実際には使っていない機能やプランにまで料金を払い続けているケースが少なくありません。未活用コストの洗い出し方と、見直しの進め方を解説します。

2026年09月23日
SaaSの「使われていない機能」に払い続けるコストの見える化

「契約しているプランの機能を、実はほとんど使っていない」——SaaSを複数導入している企業からは、こうした声がよく寄せられます。導入時には便利そうに見えた上位プランの機能が、いざ運用を始めてみると現場では使われず、それでも毎月の請求額は上位プランのまま、というケースは珍しくありません。

SaaSは月額・年額の定額課金が基本のため、使っていない機能があっても支払いは自動的に発生し続けます。しかも契約プランや機能の利用状況は、経理担当や情報システム担当以外の目に触れにくく、「なんとなく高い気がするが、具体的にどこが無駄なのか分からない」まま放置されがちです。

この記事では、SaaSの契約に潜む「使われていない機能」のコストをどう可視化し、どのように見直しを進めればよいかを解説します。

この記事の要点(30秒でわかるまとめ)

  • 契約プランと実際の利用機能にはギャップが生じやすく、上位プランの料金を払い続けているケースが多い
  • 利用ログやアクセス権限の棚卸しによって、機能単位での稼働状況を可視化できる
  • 未活用機能が生まれる背景には、導入時の想定と現場の実運用のズレがある
  • 見直しの選択肢は「プランのダウングレード」だけでなく、自社仕様への作り替えも含めて検討する価値がある

なぜ「使われていない機能」が生まれるのか

結論:導入時に将来の拡張を見込んで上位プランを選んだものの、現場の運用が定着せず、想定していた機能が使われないまま契約だけが続くケースが多く見られます。

SaaS導入の初期段階では、営業担当から複数の機能を紹介され、「将来的に使うかもしれない」という判断で上位プランを選定することがあります。しかし実際の運用が始まると、現場は必要最小限の機能しか使わず、レポート機能や自動化機能、外部連携機能といった付加的な機能は使われないまま契約更新を迎えることが少なくありません。特に担当者が異動・退職した場合、なぜそのプランを選んだのかという経緯自体が引き継がれず、見直しの機会を逸してしまうこともあります。

未活用コストを可視化する方法

結論:管理画面の利用ログやアクセス権限を棚卸しすることで、契約している機能のうち実際に使われているものと、ほぼ使われていないものを区別できます。

多くのSaaSは管理者向けの画面で、機能ごとの利用状況やログイン頻度を確認できるようになっています。まずは以下の観点で棚卸しを行うことをおすすめします。

確認項目見るべきポイント
機能別の利用ログ直近3〜6ヶ月で一度もアクセスされていない機能がないか
ユーザーごとの稼働状況ログインしていないアカウント、閲覧のみで入力していないアカウントがないか
上位プラン限定機能上位プランでしか使えない機能のうち、実際に使っているものは何か
外部連携・API利用契約している連携機能が実際に稼働しているか

こうした棚卸しを行うと、「契約上は使えるはずの機能」と「実際に使われている機能」の間に想像以上のギャップがあることに気づくケースが多くあります。

見直しの選択肢:ダウングレードと再設計

結論:未活用コストが見えてきた後の選択肢は、プランのダウングレードだけでなく、必要な機能だけを備えた自社仕様のシステムに作り替えるという方向性もあります。

棚卸しの結果、使っていない機能が明確になれば、まずは契約プランのダウングレードや不要なアカウントの整理が現実的な第一歩になります。一方で、複数のSaaSを組み合わせて運用している場合、個々のプランを見直すだけでは根本的な解決にならないこともあります。その場合は、「借りるシステム」から「自社資産のシステム」へという考え方に基づき、実際に必要な機能だけを備えたシステムを自社の業務に合わせて構築する選択肢も検討に値します。費用体系についても、当社では開発費と保守運用費のみでアカウント数に依存しない形を採っており、利用人数が増えても機能単位の追加課金が発生しない設計が可能です。

定期的な棚卸しを仕組み化する

結論:一度きりの見直しで終わらせず、契約更新のタイミングに合わせて定期的に利用状況を確認する仕組みを作ることが、無駄なコストの再発を防ぎます。

未活用コストの問題は、一度見直しても時間が経てば再び同じ状況に戻ることがあります。契約更新の数ヶ月前に利用状況を確認するというルールをあらかじめ決めておくと、次の更新タイミングで慌てずに判断できます。SaaS解約前のチェックリストで紹介している逆算スケジュールの考え方も、定期棚卸しの仕組みづくりに応用できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 未活用機能の棚卸しにはどれくらいの期間がかかりますか? A. SaaSの数や利用ログの取得方法によって異なりますが、管理画面から利用状況を確認できる場合は数日〜数週間程度で一次的な把握が可能なケースが多いです。

Q. ダウングレードすると業務に支障が出ませんか? A. 実際に使っている機能を正確に洗い出したうえで判断すれば、支障が出るリスクは抑えられます。念のため一定期間は現行プランと並行して確認する進め方も有効です。

Q. 複数のSaaSをまとめて自社システムに置き換えることはできますか? A. 業務内容や優先順位によりますが、段階的に置き換えていくアプローチも可能です。まずは無償のデモを通じて、自社の業務にどこまで対応できるかご確認いただけます。

Q. ユーザー課金型のSaaSは人数が増えるほど不利になりますか? A. ユーザー課金型SaaSの費用構造で解説しているとおり、組織の成長とともにコストが膨らみやすい構造になっているケースがあります。

まとめ

SaaSの「使われていない機能」に払い続けるコストは、意識的に棚卸しをしない限り見えてきません。まずは機能別の利用ログやアクセス権限を確認し、契約プランと実際の運用のギャップを可視化することが第一歩です。そのうえで、ダウングレードだけでなく自社仕様への作り替えも含めて選択肢を検討すると、中長期的なコスト構造そのものを見直すことができます。

Irwin&co株式会社では、こうしたSaaSの契約見直しの相談段階から対応しており、フォーム回答から約3分で見積書・要件定義書を即日自動生成する仕組みも用意しています。初回商談では実際に動くデモをご覧いただけますので、契約内容に無駄がないか気になる場合はお問い合わせからお気軽にご相談ください。

執筆者プロフィール

アーウィン 海(Irwin&co株式会社 代表取締役)

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役

生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。

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