Salesforceと基幹システム連携の複雑化を整理する
Salesforceと基幹システムの連携が複雑化していく原因と、整理のための考え方を解説します。API制限や二重入力の構造的な問題と、連携アーキテクチャを見直す際の視点を紹介します。
「最初はシンプルな連携だったはずのSalesforceと基幹システムのつなぎ込みが、気づいたら誰も全体像を把握できないほど複雑になっている」「連携処理のどこでエラーが起きているのか調査するだけで半日かかる」——Salesforceと基幹システムを連携させて運用している企業から、こうした相談が寄せられることがあります。連携先が増え、業務要件が追加されるたびに連携処理が積み重なり、全体の構造が見えにくくなっていくのは、多くの現場に共通する課題です。
連携の複雑化は、一度に大きな問題として現れるわけではなく、小さな追加連携が積み重なった結果として徐々に進行します。そのため、気づいたときには誰も手を入れられない状態になっていることも少なくありません。この記事では、Salesforceと基幹システムの連携が複雑化する原因と、整理していくための考え方を解説します。
この記事の要点(30秒でわかるまとめ)
- 連携の複雑化は個別最適な連携の積み重ねによって進行する
- API呼び出し制限などの技術的な制約が複雑化を加速させる場合がある
- 連携処理の全体マップを可視化することが整理の第一歩になる
- 複雑化が限界に近い場合は、連携アーキテクチャ自体の再設計も検討範囲になる
連携が複雑化していく構造的な原因
結論:Salesforceと基幹システムの連携は、業務要件が追加されるたびに個別の連携処理を追加していく運用になりやすく、その積み重ねが全体の複雑化を招きます。
新しい業務要件が発生したとき、既存の連携基盤を見直すよりも、個別のバッチ処理やAPI呼び出しを追加するほうが短期的には早く対応できます。しかし、この対応を繰り返すうちに、どの処理がどのデータに依存しているのかが把握しづらくなり、一箇所の変更が他の連携に影響するリスクが高まります。二重入力をなくすためのシステム間連携の設計パターンについては二重入力をなくす:システム間連携の設計パターンで解説しています。
API呼び出し制限が複雑化を加速させる
結論:SalesforceのAPI呼び出し回数には上限があり、連携処理が増えるほど上限に近づきやすくなるため、呼び出し回数を抑える工夫がさらに複雑な実装を生むことがあります。
連携処理が増えていくと、API呼び出し回数の制限に引っかかる場面が出てきます。これを回避するために、複数の処理をまとめて呼び出す、処理のタイミングを調整するといった工夫が必要になりますが、こうした工夫自体が実装を複雑にしてしまう側面もあります。API呼び出し制限の具体的な問題と対処法についてはSalesforceのAPI呼び出し制限に業務が引っかかる問題と対処法で詳しく解説しています。
連携処理の責任範囲が曖昧になる
連携処理が複数の部門の要件を横断して組まれていると、どの処理が誰の業務のために存在するのかが分かりにくくなります。担当者が異動・退職すると、連携処理の意図が引き継がれずに「触ると何が起きるか分からない」状態になってしまうケースもあります。
連携処理の全体マップを可視化する
結論:複雑化した連携を整理する第一歩は、現在稼働している連携処理の全体像を一度マップとして可視化することです。
どのシステム間でどのデータが、どのタイミングで、どういう条件でやり取りされているかを一覧化すると、重複している処理や、すでに使われていない処理が見えてくることがあります。可視化の作業自体は手間がかかりますが、以降の整理や新規開発の判断材料として長く使える資産になります。
連携アーキテクチャ自体を再設計するという選択肢
結論:個別連携の積み重ねが限界に近づいている場合は、連携基盤そのものを再設計し、データの流れを一元的に管理するアーキテクチャへの切り替えも検討範囲になります。
連携処理を一つずつ整理していくだけでは解決が難しい場合、Salesforceと基幹システムの間にデータ連携を一元管理する層を設け、個別の連携ロジックをそこに集約するという再設計のアプローチがあります。この場合、既存のSalesforce環境を活かしながら段階的に移行することも、業務システム全体を自社資産として再構築することも選択肢になります。システム開発(AI受託開発)では、現状の連携構成を踏まえたうえで、無理のない移行計画をご提案しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 連携の全体マップはどのくらいの期間で作成できますか? A. 連携の数や複雑さによって異なりますが、まずは主要な連携だけを対象に棚卸しを始めることをおすすめします。
Q. 既存の連携を残したまま一部だけ見直すことは可能ですか? A. 可能です。影響範囲の大きい連携から優先的に見直す段階的なアプローチが現実的なケースが多いです。
Q. API呼び出し制限の緩和をSalesforce側に依頼できますか? A. 契約プランによって制限の上限が異なる場合があります。詳細はSalesforce社または契約窓口への確認をおすすめします。
Q. 連携基盤の再設計にはどの程度の費用がかかりますか? A. 対象範囲によって大きく異なるため、お問い合わせからヒアリングのうえ、無償デモとあわせて見積をご提示します。
まとめ
Salesforceと基幹システムの連携が複雑化する背景には、個別最適な連携の積み重ねと、API呼び出し制限などの技術的な制約があります。まずは連携処理の全体マップを可視化し、重複や不要な処理を整理することが第一歩ですが、複雑化が限界に近い場合は連携アーキテクチャ自体の再設計も現実的な選択肢です。
Irwin&co株式会社は、生成AI特化のAI駆動開発により、既存の連携構成を踏まえた業務システムの再設計・開発を支援しています。フォーム回答から約3分で見積書・要件定義書を自動生成し、初回商談では実際に動くデモを無償で提示していますので、連携の複雑化に課題を感じている場合はお問い合わせからご相談ください。
執筆者プロフィール

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役
生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。
