SalesforceのAPI呼び出し制限とは?原因と対処法
SalesforceのAPI呼び出し制限に業務システムが引っかかり、連携エラーや処理遅延に悩んでいませんか。制限の仕組みと、現場でできる対処法・設計面での見直し方を解説します。
Salesforceと外部システムを連携させて業務を効率化しようとしたところ、「API呼び出し制限に達しました」というエラーに突き当たった、という相談が寄せられることがあります。連携するシステムが増えるほど、また扱うデータ量が増えるほど、API呼び出し回数は積み上がっていくため、事業が成長しているタイミングほどこの問題に直面しやすいという側面があります。
API呼び出し制限は、Salesforceの契約プランや保有ライセンス数によって上限が定められている仕組みで、超過すると外部システムとの連携処理が失敗したり、遅延したりすることがあります。原因が分からないまま場当たり的にリトライ処理を増やすと、かえって制限に引っかかりやすくなるという悪循環に陥ることも少なくありません。この記事では、API呼び出し制限の仕組みと、業務に影響が出た場合の現実的な対処法、そして中長期的な設計の見直し方について解説します。
この記事の要点(30秒でわかるまとめ)
- SalesforceのAPI呼び出し制限は契約プラン・ライセンス数に応じた24時間あたりの上限で管理されている
- 制限に引っかかる原因の多くは外部連携システムの増加とバッチ処理の集中にある
- 短期的にはAPI使用量の可視化とリクエストの分散で対処できるケースが多い
- 連携システムが多い場合は、中長期的な連携アーキテクチャの見直しが根本的な解決につながることがある
SalesforceのAPI呼び出し制限の仕組み
結論:SalesforceのAPI呼び出し制限は、契約している組織(Org)ごとに24時間単位で上限が設定されており、上限はエディションやライセンス数によって変動する仕組みになっています。
この上限には、REST APIやSOAP APIを通じた呼び出し回数だけでなく、Bulk APIによる一括処理や、外部の業務システムからの連携処理も含まれます。そのため、社内で使っている複数のシステムがそれぞれ個別にSalesforceへアクセスしている場合、想定より早く上限に近づいてしまうことがあります。制限の詳細な数値は契約内容によって異なるため、現状の上限や消費状況を正確に把握したい場合は、契約内容の確認や管理者向け画面での使用量確認から始めることをおすすめします。
なぜAPI制限に引っかかるのか:よくある3つのパターン
結論:API制限に引っかかる背景には、外部連携システムの増加、バッチ処理の時間帯集中、そして非効率なリクエスト設計という3つの典型パターンがあることが多いです。
まず、マーケティングツールや会計システム、基幹システムなど、Salesforceと連携するシステムの数が増えるほど、全体としてのAPI消費量は積み上がっていきます。次に、夜間バッチなど特定の時間帯に処理が集中すると、その時間帯だけ一時的に上限へ近づきやすくなります。さらに、本来まとめて取得・更新できるデータを1件ずつ個別にAPI呼び出ししているようなケースでは、同じ処理内容でも消費するAPI回数が大きく増えてしまいます。これらは個別の連携先を見ているだけでは気づきにくく、全体を俯瞰して初めて分かることが多いという点が、この問題の対処を難しくしています。
制限に引っかかった場合に業務に起きること
結論:API呼び出し制限を超過すると、超過後の一定時間はSalesforceへのAPI経由でのアクセスがエラーとなり、連携している業務システム側の処理が失敗・停止する可能性があります。
たとえば、ECサイトの注文情報をSalesforceに自動連携している場合、制限超過中は注文データの取り込みが止まり、手作業でのフォローが必要になることがあります。また、見積書や請求書を自動生成する仕組みがSalesforceのデータを参照している場合も、同様に処理が滞る可能性があります。こうした業務停止は、原因の特定に時間がかかるほど影響範囲が広がりやすいため、まずは制限超過が発生していないかを早期に検知できる体制を整えることが優先度の高い対策になります。
短期的な対処法:可視化とリクエストの分散
結論:短期的には、API使用量を可視化して消費の多い連携処理を特定し、処理のタイミングを分散させることで、制限超過を回避できるケースが多いです。
管理者向け画面ではAPI使用状況を確認できるため、まずはどの連携システムがどれだけAPIを消費しているかを把握することから始めます。特定の時間帯に処理が集中している場合は、バッチ処理の実行時間をずらしたり、Bulk APIを活用して一括処理に切り替えたりすることで、消費量を抑えられる場合があります。また、1件ずつ処理していたリクエストをまとめて処理する設計に見直すだけでも、API消費量が大きく減ることがあります。
中長期的な対処法:連携アーキテクチャの見直し
結論:連携するシステムの数が今後も増えていく見込みがある場合は、個別最適な連携をその都度追加するのではなく、連携全体をまとめて設計し直すアーキテクチャの見直しが根本的な対処につながります。
複数のシステムがそれぞれ個別にSalesforceへAPIアクセスしていると、全体の消費量を管理しづらく、どこかのシステムの処理量が増えただけで他の連携に影響が及ぶこともあります。中間に連携基盤(ハブ)を設け、データの取得・更新をまとめて管理する構成に見直すことで、API消費の全体最適化がしやすくなります。二重入力の解消も含めたシステム間連携の設計パターンについては、二重入力をなくす:システム間連携の設計パターンでも詳しく解説しています。
スクラッチ開発への移行という選択肢
API制限そのものに加えて、ライセンス費や保守コストも含めた「隠れコスト」が気になっている場合は、Salesforceに依存しない業務システムへの移行も選択肢の一つです。Salesforceのライセンス費以外にかかっているコストの洗い出し方は、Salesforceの「隠れコスト」:ライセンス費以外に払っているものの洗い出し方で解説しています。Irwin&co株式会社では、AI駆動開発により開発費を相場の約1/2に抑えながら、API呼び出し制限のような外部SaaSの制約を受けない自社資産としての業務システム開発を支援しています。開発事例は開発事例一覧からご覧いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q. API呼び出し制限の上限は自社でどこまで増やせますか? A. 上限はエディションやライセンス数、追加のAPIコール購入などによって変動します。正確な上限や増枠の可否については、契約内容の確認が必要です。
Q. Bulk APIを使えば必ず制限を回避できますか? A. Bulk APIは一括処理により消費量を抑えられるケースが多いですが、処理内容によって効果の度合いは異なります。導入前に自社の連携処理でどの程度の削減が見込めるか確認することをおすすめします。
Q. 制限超過はどのように検知すればよいですか? A. 管理者向け画面でのAPI使用状況の確認に加えて、連携システム側でエラーログを監視する仕組みを設けておくと、早期発見につながりやすくなります。
Q. 連携システムが少ない場合でも見直しは必要ですか? A. 現時点で制限に達していなくても、連携システムや取り扱うデータ量が今後増える見込みがある場合は、早めに全体設計を見直しておくと将来的な対処がしやすくなります。
まとめ
SalesforceのAPI呼び出し制限は、連携システムの増加やバッチ処理の集中によって想定より早く上限に近づくことがある一方、使用量の可視化やリクエストの分散といった対処で改善が見込めるケースも多くあります。連携システムの数が今後も増えていく場合は、個別最適な連携をその都度追加するのではなく、連携基盤を含めたアーキテクチャ全体を見直すことが、根本的な解決につながります。
Irwin&co株式会社では、既存の連携構成の棚卸しから、API制限に左右されにくい業務システムの設計・開発まで一貫して支援しています。API連携でお困りの際は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
執筆者プロフィール

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役
生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。
