Salesforceのデータ移行:棚卸しからCSV移行までの進め方

Salesforceからのデータ移行をどう進めればよいか。オブジェクトの棚卸し、データクレンジング、CSV移行の実務手順と、移行時に注意すべきポイントを解説します。

2026年08月22日
Salesforceのデータ移行:棚卸しからCSV移行までの進め方

「Salesforceのデータを新しいシステムに移行したいが、何から手をつければいいか分からない」——乗り換えを検討する担当者から、こうした声が寄せられることがあります。Salesforceは標準オブジェクトとカスタムオブジェクトが複雑に絡み合っていることが多く、思いつきで移行を始めてしまうと、後になって「必要なデータが抜けていた」「関連性が崩れていた」といった問題が発覚しがちです。

データ移行を安全に進めるためには、闇雲に着手するのではなく、オブジェクトの棚卸しからクレンジング、移行方法の選定、検証という一連の手順を踏むことが欠かせません。特にSalesforceのように長年運用されてきたシステムでは、使われなくなったカスタムオブジェクトや項目が残っていることも多く、棚卸しの段階で移行対象を見極める作業が重要になります。

この記事では、Salesforceからのデータ移行を進める際の実務的な手順と、CSV移行を行う際に注意すべきポイントを解説します。

この記事の要点(30秒でわかるまとめ)

  • 移行の第一歩は「使っているオブジェクト・項目」の棚卸しであり、これを飛ばすと後工程で手戻りが発生しやすい
  • 棚卸し後は重複・表記ゆれ・死蔵データを整理するデータクレンジングが必要になる
  • 移行方法にはCSVエクスポート/インポートやAPI連携などがあり、データ量・関連性の複雑さで選び方が変わる
  • 移行後は並行稼働と検証期間を設け、データの整合性を確認してから完全移行する

ステップ1:オブジェクトと項目の棚卸し

結論:移行を始める前に、実際に使っているオブジェクト・項目と、使われていないものを切り分けることが最初の作業です。

Salesforceは標準オブジェクト(取引先・商談・リードなど)に加え、業務に合わせて追加されたカスタムオブジェクトや項目が数多く存在することが一般的です。長年運用してきた環境では、過去に一時的な用途で追加されたまま使われなくなった項目が残っていることも珍しくありません。すべてをそのまま移行しようとすると作業量が膨らむだけでなく、移行先の設計も複雑になってしまうため、まずは「実際に使っている」オブジェクト・項目を洗い出すことが重要です。

ステップ2:データクレンジング

結論:重複レコード・表記ゆれ・死蔵データを整理してから移行することで、移行後のデータ品質が大きく向上します。

  • 重複レコードの統合:同一の取引先や顧客が複数レコードに分かれていないか確認する
  • 表記ゆれの統一:会社名や住所などの表記が統一されているか確認する
  • 死蔵項目の整理:長期間更新されていない項目や、実質的に使われていない項目を洗い出す
  • 必須項目の充足確認:移行先システムで必須となる項目が、移行元で欠損なく入力されているか確認する

このクレンジング作業を移行前に行わないと、不整合なデータがそのまま新システムに持ち込まれ、移行後の運用に支障をきたす原因になります。

ステップ3:移行方法の選定

結論:データ量やオブジェクト間の関連性の複雑さに応じて、CSVエクスポート/インポートかAPI連携かを選ぶ必要があります。

比較的小規模で、オブジェクト間の関連性がシンプルな場合は、SalesforceからCSV形式でエクスポートし、移行先システムにインポートする方法が扱いやすい選択肢です。一方、データ量が多い場合や、複数のオブジェクトが複雑に関連し合っている場合は、API連携による自動化されたデータ移行の方が、手作業によるミスを減らせる場合があります。移行対象の規模と複雑さを見極めたうえで、適切な方法を選ぶことが重要です。

CSV移行で特に注意すべき点

CSV移行では、オブジェクト間の関連(たとえば取引先と商談の紐づけ)を正しく維持したまま移行することが最大の注意点です。関連先のIDが移行後に変わってしまうケースがあるため、外部ID項目を活用して関連性を担保する、あるいは移行順序を「親オブジェクトから子オブジェクトへ」と設計するといった工夫が必要になります。

ステップ4:並行稼働と検証

結論:移行後すぐに完全に切り替えるのではなく、一定期間の並行稼働を経て、データの整合性を検証することが望ましいです。

移行直後は想定外の不整合が見つかることも珍しくないため、旧システムと新システムを並行して稼働させ、レコード件数や主要な項目の値を突き合わせて検証する期間を設けることをおすすめします。並行稼働の期間中に問題が見つかれば、旧システムに切り戻す判断も可能になり、移行のリスクを抑えられます。

移行プロジェクトの進め方全体像

結論:棚卸し・クレンジング・移行・検証という4ステップを、契約更新のスケジュールから逆算して計画することが、無理のない移行につながります。

データ移行は単独で完結する作業ではなく、システム全体の刷新プロジェクトの一部として位置づけられることが多くあります。脱Salesforce完全ガイドで紹介している判断基準や進め方とあわせて、移行そのものの手順も具体的に計画しておくことで、プロジェクト全体をスムーズに進めやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. データ移行にはどれくらいの期間がかかりますか? A. データ量やオブジェクトの複雑さによって異なります。棚卸しとクレンジングに時間をかけるほど、移行作業自体はスムーズに進む傾向があります。

Q. カスタムオブジェクトが多い場合、移行は難しくなりますか? A. カスタムオブジェクトが多いほど、関連性の整理に時間がかかる傾向があります。事前の棚卸しで、実際に必要なオブジェクトを見極めることが重要です。

Q. 移行中に業務を止めずに進めることはできますか? A. 並行稼働の期間を設けることで、業務を止めずに移行を進めることが可能です。移行の規模に応じて、並行稼働の期間を適切に設計する必要があります。

Q. 移行後にデータの不整合が見つかった場合はどうすればよいですか? A. 並行稼働期間中であれば、旧システムのデータを参照しながら修正・再移行を行うことができます。検証期間を十分に確保しておくことが重要です。

まとめ

Salesforceからのデータ移行は、オブジェクト・項目の棚卸しから始め、クレンジング、移行方法の選定、並行稼働による検証という手順を踏むことで、リスクを抑えながら進めることができます。思いつきで着手せず、契約更新のスケジュールから逆算した計画を立てることが、無理のない移行の鍵になります。

Irwin&co株式会社は、データの棚卸しから移行、移行先システムの開発までを一気通貫で支援しています。初回商談では実際に動くデモをご覧いただけますので、データ移行を含めたシステム刷新を検討している場合はお問い合わせからご相談ください。

執筆者プロフィール

アーウィン 海(Irwin&co株式会社 代表取締役)

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役

生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。

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