システム保守運用の内製化タイミングの判断基準

外部委託していたシステムの保守運用を、いつ内製化すべきか悩んでいませんか。判断の目安となる基準と、内製化を進める際の注意点を解説します。

2026年11月05日
システム保守運用の内製化タイミングの判断基準

システムを開発会社に委託して運用してきた企業の中には、「保守運用もそろそろ自社で対応できるのではないか」「内製化すればコストを抑えられるかもしれない」と考える担当者もいます。しかし、内製化のタイミングを見誤ると、対応できるはずの不具合に時間がかかったり、逆に無理な内製化によって現場の負担が増えてしまったりすることがあります。

内製化は「できるかどうか」だけでなく「今がそのタイミングか」を見極めることが重要です。この記事では、システム保守運用を内製化するかどうかを判断する際の基準と、進める際に気をつけたいポイントを整理します。

この記事の要点(30秒でわかるまとめ)

  • 内製化の判断はシステムの変更頻度と担当者の技術スキルが大きな基準になる
  • 社内にシステムを理解する担当者が複数名いるかが重要なチェックポイント
  • 内製化と外注の**中間的な体制(一部内製化)**という選択肢もある
  • 内製化後も緊急時のバックアップ体制を検討しておく必要がある

変更頻度とシステムの安定度を基準に考える

結論:システムへの変更頻度が落ち着き、安定稼働しているフェーズに入った場合は、内製化を検討しやすいタイミングのひとつです。

開発直後や機能追加が頻繁に発生している時期は、外部の開発会社が持つ知見やスピードが重要な役割を果たします。一方、システムが安定稼働し、変更内容が軽微な修正や運用上の調整にとどまるフェーズに入ると、社内の担当者でも対応できる範囲が広がります。保守運用費の内訳を理解しておくと、内製化によってどの部分のコストを抑えられるかが見えやすくなります。詳しくはシステム開発後の保守運用費はいくらかかるか:内訳と抑え方で解説しています。

社内に複数の担当者がいるかを確認する

結論:内製化を進める際は、システムを理解する担当者が1人に依存していないかを必ず確認する必要があります。

内製化によって保守運用の担当者が1人しかいない状態になると、その担当者が異動・退職した場合にシステムの維持が困難になるリスクがあります。これはSalesforceのような外部パッケージの運用でも共通する課題で、Salesforce管理者の属人化・不在リスクとその対処法でも同様の問題を取り上げています。内製化を検討する際は、最低でも2名以上が対応できる体制を整えられるかどうかを基準にするとよいでしょう。

IT専任者がいない場合の内製化の現実性

結論:IT専任者がいない中小企業の場合、全面的な内製化よりも、外部の開発会社と連携しながら部分的に内製化する進め方が現実的な選択肢になることが多くあります。

専任のIT担当者を新たに雇用・育成するコストを考えると、すべてを内製化するよりも、軽微な修正や設定変更は社内で対応し、大きな機能追加やトラブル対応は外部に委託するという「ハイブリッド型」の体制が合理的な場合があります。

内製化と外注、どちらが向いているかの見極め方

結論:内製化と外注のどちらが向いているかは、システムの重要度・変更頻度・社内の技術リソースという3つの軸から総合的に判断することが望ましいです。

内製化によってコストを抑えられる可能性がある一方、社内の技術リソースを割くことで他の業務に影響が出る場合もあります。内製化すべき範囲と外注すべき範囲の見極め方については、システム内製化と外注の使い分け:自社に合う開発体制の見極め方でさらに詳しく解説しています。

内製化後も残しておきたいバックアップ体制

結論:内製化を進めた後も、緊急時や大規模な改修が必要になった場合に相談できる外部の体制を残しておくことが望ましいです。

完全に内製化してしまうと、想定外の大規模トラブルや、担当者だけでは対応しきれない技術的な課題が発生した際に、対応が行き詰まってしまうリスクがあります。内製化後も、緊急時に相談できる開発会社との関係を維持しておくことで、リスクを抑えながら内製化のメリットを享受しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. 内製化はどれくらいの規模の企業から検討すべきですか? A. 企業規模よりも、システムの変更頻度や社内の技術リソースの状況によって判断すべきものです。小規模な企業でも、担当者のスキルと体制が整っていれば内製化は可能です。

Q. 内製化を進めると保守運用費は必ず下がりますか? A. 社内の人件費やリソースの割き方によって結果は異なるため、必ず下がるとは言えません。トータルコストで比較検討することをおすすめします。

Q. 一部だけ内製化するという進め方は可能ですか? A. 可能です。軽微な修正は社内対応、大きな改修は外部委託というハイブリッド型の体制を取る企業も多く見られます。

Q. 内製化の担当者が退職した場合、どう対応すればよいですか? A. 複数名で対応できる体制を事前に整えておくこと、また緊急時に相談できる外部の開発会社との関係を維持しておくことが有効です。

まとめ

システム保守運用の内製化は、システムの安定度・変更頻度・社内の技術リソースを基準に判断するものであり、「できるかどうか」だけでなく「今がそのタイミングか」を見極めることが重要です。全面的な内製化が難しい場合は、外部委託と組み合わせたハイブリッド型の体制も有効な選択肢です。

Irwin&co株式会社では、開発だけでなく保守運用のフェーズまで見据えたシステム設計を行い、内製化を検討する企業に対しても段階的な体制づくりをサポートしています。保守運用体制について相談したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。

執筆者プロフィール

アーウィン 海(Irwin&co株式会社 代表取締役)

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役

生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。

お問い合わせ

生成AI活用やAI開発について、お気軽にご相談ください。

まずは相談する