システム開発後の保守運用費はいくらかかるか:内訳と抑え方

システム開発後の保守運用費がいくらかかるのか分からず、見積書の段階で不安を感じていませんか。保守運用費の内訳と相場の考え方、費用を抑える工夫を実務目線で解説します。

2026年09月05日
システム開発後の保守運用費はいくらかかるか:内訳と抑え方

システム開発の見積もりを受け取ったとき、初期開発費には目が行きやすいものの、開発後にかかり続ける保守運用費については「よく分からないまま契約してしまった」という声が現場から寄せられることがあります。保守運用費は毎月・毎年発生する費用であるため、初期費用以上に総コストへの影響が大きくなるケースも少なくありません。

保守運用費の内訳を理解しないまま契約すると、後になって「思ったより費用がかさむ」「何にお金を払っているのか分からない」といった不満につながりやすくなります。逆に、保守運用費の構造を理解しておけば、見積もり段階で適切な質問ができ、契約内容の妥当性を判断しやすくなります。

この記事では、システム開発後の保守運用費がどのような要素で構成されているのか、相場をどう考えればよいか、そして費用を抑えるための工夫について解説します。

この記事の要点(30秒でわかるまとめ)

  • 保守運用費は不具合対応・機能追加・監視/インフラ費など複数の要素で構成される
  • 費用がアカウント数(利用ユーザー数)に応じて増える契約かどうかは長期コストを大きく左右する
  • 保守運用費を抑えるには、契約範囲の明確化開発時点での設計の工夫が効果的
  • 保守運用費は総額だけでなく、対応範囲と対応時間まで確認することが重要

保守運用費とは何か

結論:保守運用費とは、システムを納品した後も継続的に発生する、不具合対応・軽微な改修・監視といった業務にかかる費用のことです。

初期開発費が「システムを作る」ための費用であるのに対し、保守運用費は「システムを使い続ける」ための費用です。多くの業務システムは納品後も利用状況の変化や法改正、業務フローの見直しなどにあわせて調整が必要になるため、保守運用費をあらかじめ契約に組み込んでおくケースが一般的です。この費用を軽視して契約してしまうと、いざ不具合が発生したときや、軽微な修正を依頼したいときに、想定外の追加費用や対応の遅れが生じることがあります。

保守運用費の内訳

結論:保守運用費は主に「不具合対応」「軽微な機能追加・改修」「サーバー・インフラの監視費用」の3つに分けて考えることができます。

不具合対応とは、システムの動作不良やエラーが発生した際に修正を行う対応です。軽微な機能追加・改修は、業務の変化にあわせて画面や機能を微調整する対応を指します。サーバー・インフラの監視費用は、システムが安定して稼働し続けるための死活監視やバックアップにかかる費用です。見積書にこれらの区分が明記されているかどうかを確認することで、何にどれだけの費用がかかっているかを把握しやすくなります。

対応時間帯・対応スピードによる違い

保守運用費は、平日日中のみの対応か、休日や夜間も含めた対応かによっても金額が変わります。業務システムが止まると現場の業務が滞る場合は、対応時間帯についても契約前に確認しておくことが望ましいといえます。

保守運用費の相場感とアカウント数依存の落とし穴

結論:保守運用費の金額そのものよりも、「利用者数が増えるごとに費用が増加する契約かどうか」を確認することが重要です。

システムによっては、利用するアカウント数(ユーザー数)に応じて月額費用が増加する料金体系が採用されていることがあります。導入時点では低コストに見えても、組織の成長にあわせて利用者が増えると、保守運用費も比例して増加していくため、数年単位で見ると想定より大きな負担になるケースがあります。当社では、保守運用費をアカウント数に依存しない体系で提供しており、開発費と保守運用費のみのシンプルな費用構成としています。こうした費用体系の考え方については、受託開発の費用相場と見積書の読み方でも詳しく解説しています。

保守運用費を抑えるための工夫

結論:保守運用費を抑えるには、契約前に対応範囲を明確にすることに加えて、開発段階でメンテナンスしやすい設計にしておくことが効果的です。

契約範囲があいまいなまま進めると、「これは保守の範囲内か、追加費用が発生する改修か」の判断で認識のずれが生じやすくなります。契約時点で、どこまでが保守運用費に含まれ、どこからが追加見積もりになるのかを明文化しておくことが重要です。また、開発段階でシステムの構造をシンプルに保っておくことも、将来の保守コストを抑えることにつながります。AIを活用した開発手法によって設計・実装の効率化が進んでいる背景については、AI駆動開発で開発費が相場の約1/2になる理由で解説しています。

保守運用費を確認する際のチェックポイント

結論:見積書や契約書を確認する際は、以下の観点をチェックすることで、費用の妥当性を判断しやすくなります。

確認観点チェックポイント
内訳の明確さ不具合対応・機能追加・監視費用が分かれているか
費用体系アカウント数によって費用が変動する契約か
対応範囲保守に含まれる作業とスポット対応の境界が明記されているか
対応時間帯平日日中のみか、休日・夜間対応も含むか

こうした観点を踏まえた開発会社の選び方については、受託開発会社の選び方でも取り上げています。

よくある質問(FAQ)

Q. 保守運用費は必ず契約すべきものですか? A. システムの重要度や、社内に運用できる人材がいるかどうかによって判断は変わります。業務に不可欠なシステムであれば、保守運用契約を結んでおくケースが多いといえます。

Q. 保守運用費はどれくらいの周期で見直すべきですか? A. 利用者数や業務内容が大きく変化したタイミングで、契約内容が実態に合っているか見直すことをおすすめします。

Q. アカウント数非依存の費用体系にはどんなメリットがありますか? A. 組織の成長にあわせて利用者が増えても保守運用費が増加しないため、長期的なコスト計画が立てやすくなります。

Q. 保守運用費を含めた総コストはどう試算すればよいですか? A. 初期開発費に加えて、想定利用年数分の保守運用費を合算して試算する方法が一般的です。詳細な試算については個別にご相談いただくことも可能です。

まとめ

保守運用費は、不具合対応・機能追加・監視費用といった要素で構成され、特にアカウント数に応じて費用が増加する契約かどうかが長期コストを大きく左右します。契約前に対応範囲と費用体系を確認しておくことが、納得感のあるシステム運用につながります。

Irwin&co株式会社は、開発費と保守運用費のみのシンプルな費用体系(アカウント数非依存)でシステム開発を提供しており、AI駆動開発により開発費を相場の約1/2程度に抑えることも可能です。保守運用費を含めた費用感について相談したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。

執筆者プロフィール

アーウィン 海(Irwin&co株式会社 代表取締役)

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役

生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。

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