案件継続率95%を支える受託開発の進め方
システム開発を発注しても、その後の関係が一度きりで終わってしまうケースは少なくありません。案件継続率を高める受託開発の進め方をコラム形式で紹介します。
システム開発を一度発注したものの、「次の相談はどこにすればいいか分からない」「別の開発会社を一から探すことになった」という経験をした担当者は少なくありません。開発会社との関係が単発のプロジェクトで終わってしまうと、業務理解をゼロから伝え直す手間が発生し、結果的に効率が下がってしまうこともあります。
一方で、長期的に同じパートナーと関係を続けられれば、業務理解の蓄積を活かした提案を受けやすくなり、追加開発や改善のスピードも上がりやすくなります。この記事では、案件が継続的な関係につながりやすい受託開発の進め方について、コラム形式で紹介します。
この記事の要点(30秒でわかるまとめ)
- 案件が継続する背景には、初回開発時点での業務理解のすり合わせが大きく影響する
- 継続率を左右するのは、納品後の保守運用対応の質と追加相談のしやすさ
- 段階的な開発によって信頼関係を積み上げていくアプローチが有効
- 継続的な関係は、顧客にとっても業務理解の伝え直しコストを削減できるメリットがある
なぜ開発会社との関係が一度きりで終わりやすいのか
結論:開発会社との関係が単発で終わりやすい理由の一つは、初回のプロジェクトで業務理解と成果物のすり合わせが十分にできていないことにあります。
システム開発は、要件定義の段階で現場の業務を深く理解できているかどうかが、その後の満足度を大きく左右します。業務理解が浅いまま開発を進めてしまうと、納品されたシステムが現場の実態と合わず、「次も同じ会社に頼みたい」という気持ちにつながりにくくなります。現場を巻き込んだ要件定義の重要性については、現場を巻き込む要件定義のやり方でも解説しています。
継続率を左右する納品後の対応
結論:案件が継続するかどうかは、納品して終わりではなく、納品後の保守運用対応の質によって大きく左右されます。
システムは納品した時点がゴールではなく、運用しながら改善を重ねていくものです。不具合対応や軽微な改修依頼に対して、迅速かつ丁寧に対応できるかどうかが、顧客からの信頼につながります。逆に、納品後の対応が遅かったり、追加費用の説明が不透明だったりすると、次の相談を別の会社に持ちかけられてしまうことになりかねません。保守運用費の内訳や費用体系については、システム開発後の保守運用費はいくらかかるかで詳しく解説しています。
追加相談をしやすい雰囲気づくり
些細な改善要望でも気軽に相談できる関係性を築けているかどうかも、継続率に影響します。「この程度のことで相談していいのだろうか」と顧客が遠慮してしまう関係では、小さな改善の積み重ねが生まれにくくなります。
段階的な開発で信頼関係を積み上げる
結論:最初から大規模なシステムを一括で開発するのではなく、小さく作って現場で使いながら改善していく段階的なアプローチが、継続的な関係の構築に有効です。
一度に大きな投資を求める開発では、発注する側も慎重にならざるを得ません。まずは小さな範囲で成果を出し、現場での使い勝手を確認しながら機能を拡張していくことで、顧客側も安心して次のステップに進みやすくなります。このプロセスの中で、開発会社と顧客の間に段階的な信頼関係が積み上がっていきます。契約前に「動くデモ」を確認できる進め方も、この信頼関係づくりの一環といえます。詳しくは、契約前の「動くデモ」で何を確認すべきかで解説しています。
継続的な関係が顧客にもたらすメリット
結論:継続的な関係を築けると、顧客側にとっては業務理解を一から伝え直すコストを省けるという大きなメリットがあります。
新しい開発会社に依頼するたびに、自社の業務フローやシステムの背景を説明し直すのは大きな負担です。同じパートナーと関係を続けられれば、過去の経緯を踏まえた提案を受けやすくなり、意思決定のスピードも上がります。不動産・建設・食品・製造・通信・保険など幅広い業種での開発実績も、こうした継続的な関係の積み重ねによって培われてきたものです。実際の開発事例は、開発事例でご覧いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q. 案件継続率が高い開発会社を見極めるポイントはありますか? A. 初回商談での業務理解の深さや、納品後の対応方針を確認することが参考になります。契約前に確認すべきポイントは、受託開発会社の選び方でも紹介しています。
Q. 段階的な開発は費用が割高になりませんか? A. 一括開発と比べて総額が変わらないケースもあり、むしろ手戻りのリスクを減らせる点でコストメリットがある場合もあります。
Q. 継続的な関係を築くために顧客側ができることはありますか? A. 小さな改善要望でも気軽に相談することや、業務の変化を早めに共有することが、良好な関係づくりにつながります。
Q. 保守運用の対応が悪い場合、開発会社を変更すべきですか? A. まずは対応範囲や契約内容を確認したうえで、改善が見込めない場合は他社への相談を検討することも一つの選択肢です。
まとめ
案件が継続的な関係につながるかどうかは、初回開発時の業務理解のすり合わせ、納品後の保守運用対応の質、そして段階的な開発による信頼関係の積み重ねによって左右されます。継続的な関係は、顧客にとっても業務理解を伝え直すコストを省けるという実務的なメリットがあります。
Irwin&co株式会社は、現場を巻き込んだ要件定義と段階的な開発アプローチにより、高い案件継続率を実現しています。長期的なパートナーとしてシステム開発を相談したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。
執筆者プロフィール

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役
生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。
