業務システム開発のアジャイルとウォーターフォールの使い分け

業務システム開発におけるアジャイル型とウォーターフォール型の違いと、自社の案件に合った進め方の選び方を、発注側の視点で分かりやすく解説します。

2026年10月23日
業務システム開発のアジャイルとウォーターフォールの使い分け

「開発会社から『アジャイルで進めます』と言われたが、具体的に何が変わるのか分からない」「要件が固まっていないのに、ウォーターフォールで契約してよいのか不安」——業務システムの発注を検討する企業の担当者から、こうした相談が寄せられることがあります。開発手法の違いは、契約の形態やスケジュールの立て方、そして発注後にどこまで仕様変更に対応できるかにも関わってくるため、発注前に大まかな特徴を理解しておくことが望ましいといえます。

アジャイルとウォーターフォールのどちらが優れているというものではなく、案件の性質や社内の体制によって向き不向きがあります。この記事では、業務システム開発における両者の違いと、使い分けの考え方を解説します。

この記事の要点(30秒でわかるまとめ)

  • ウォーターフォールは要件を事前に固めてから開発する手法で、計画の見通しが立てやすい
  • アジャイルは小さな単位で開発と確認を繰り返す手法で、要件の変化に対応しやすい
  • 要件の確度と変更の起こりやすさが、どちらを選ぶかの主な判断軸になる
  • 当社は小さく作って現場で直す段階的な開発を基本としつつ、案件の性質に応じて進め方を調整している

ウォーターフォール型の特徴と向いている案件

結論:ウォーターフォール型は要件定義・設計・開発・テストの各工程を順番に進める手法で、事前に業務要件が明確になっている案件に向いています。

工程ごとに成果物を確定させながら進めるため、全体のスケジュールや費用の見通しを早い段階で立てやすいという特徴があります。一方で、開発の後半で要件の変更が発生すると、手戻りの範囲が大きくなりやすく、追加の時間とコストがかかる傾向があります。既存システムの置き換えのように、業務フローがすでに固まっている案件では、ウォーターフォール型の進め方が合いやすいといえます。

契約形態との関係

ウォーターフォール型は、成果物と検収基準を事前に定めやすいことから、請負契約と組み合わせられることが多い進め方です。契約形態によって検収のタイミングや責任の範囲も変わるため、発注前に確認しておくとよいでしょう。

アジャイル型の特徴と向いている案件

結論:アジャイル型は要件を大枠で定めたうえで、小さな機能単位で開発とフィードバックを繰り返す手法で、要件が流動的な案件や、現場の反応を見ながら機能を調整したい案件に向いています。

実際に動くものを早い段階で確認できるため、「イメージと違う」というズレを早期に発見しやすいという利点があります。一方で、進め方次第では全体のゴールが見えにくくなることもあるため、各サイクルで何を確認し、何を決定するかを発注側と開発側で共有しておくことが重要です。段階的な開発の考え方については小さく作って現場で直す:業務システムの段階的開発のすすめでも詳しく解説しています。

現場の反応を見ながら調整できる利点

新しい業務システムを現場に定着させるうえでは、完成形を一度に提示するよりも、小さい単位で試してもらいながら調整するほうが、現場の納得感を得やすいケースが多く見られます。

使い分けの判断軸:要件の確度と変更の起こりやすさ

結論:どちらの手法を選ぶかは、要件がどれだけ確定しているか、そして開発中に要件が変わる可能性がどれだけあるかという2つの軸で判断するのが現実的です。

要件が明確で変更の可能性が低い案件はウォーターフォール型、要件が未確定で現場の反応を見ながら調整したい案件はアジャイル型、という大まかな目安があります。ただし実務では、両者を組み合わせて、要件定義フェーズまではウォーターフォール的に進め、開発フェーズ以降をアジャイル的に小さく区切って進めるという折衷的な進め方も広く行われています。発注前に確認すべきポイントについては受託開発会社の選び方:発注前に見るべき7つのポイントでまとめています。

発注側が事前に決めておくべきこと

結論:どちらの手法を選ぶ場合も、進捗の確認頻度と、仕様変更が発生した場合の扱いをあらかじめ開発会社と合意しておくことが重要です。

アジャイル型であっても仕様変更が無制限に無償で対応されるわけではなく、ウォーターフォール型であっても一定の変更協議の余地は設けられるのが一般的です。追加開発費が発生する範囲や費用相場についても、契約前にすり合わせておくことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. アジャイル型の方が費用を抑えられますか? A. 手法自体が費用を直接決めるわけではなく、開発規模や工程の効率化の方が費用への影響は大きい傾向があります。AI駆動開発を組み合わせることで開発費を抑えられるケースもあります。

Q. 途中でウォーターフォールからアジャイルに切り替えることはできますか? A. 契約の形態によっては難しい場合もあるため、進め方を見直したい場合は早めに開発会社と相談することをおすすめします。

Q. 社内にアジャイルの経験者がいなくても進められますか? A. 開発会社側が進行をリードする形であれば、発注側に専門知識がなくても進められるケースが多いです。各サイクルでの確認事項を明確にしてもらうと進めやすくなります。

まとめ

業務システム開発のアジャイルとウォーターフォールは、どちらが優れているかではなく、要件の確度と変更の起こりやすさに応じて使い分けるべきものです。要件が固まっている案件はウォーターフォール型、現場の反応を見ながら調整したい案件はアジャイル型を軸にしつつ、折衷的な進め方も検討するとよいでしょう。

Irwin&co株式会社は、小さく作って現場で直す段階的な開発を基本に、AI駆動開発により開発費を相場の約1/2に抑えながら、案件の性質に応じた進め方を提案しています。案件継続率95%を支える丁寧な進行管理のもと、初回商談では動くデモを無償で提示していますので、開発手法の選び方に迷っている場合は開発事例もご覧のうえ、お問い合わせからご相談ください。

執筆者プロフィール

アーウィン 海(Irwin&co株式会社 代表取締役)

アーウィン 海Irwin&co株式会社 代表取締役

生成AIを活用したシステム開発・コンサルティング・研修サービスを提供するIrwin&co株式会社を創業し、IT専任者のいない中小企業を中心に、業務システムの構築とSaaSからの移行を支援している。「SaaSの標準機能に業務を合わせるのではなく、業務に合わせたシステムを自社の資産として持つ」という考え方のもと、不動産をはじめとする業界で、生成AIを前提とした業務システムの設計・開発を数多く手がける。

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